映画という芸術は、果たしてどこに行き着くのか?
ー IMAX®はどこでご覧になったんですか?
グランドシネマサンシャイン池袋で観ましたが、今作はIMAX®にぴったりですね。あの上下に広がった、フルスクリーンのIMAX®がベスト。できれば、プレミアムシートで観るとよりリラックスできて没入できるのでオススメです。
ー IMAX®で観るべき大作ですね。
でも、ここで冒頭の話のつづきになりますが、この映画の目眩がするようなめくるめく映像世界は魅力ではあるけど、最終的には俳優の力が肝の映画だと僕は思いました。抑制されたSF的ガジェットはあくまで俳優の引き立て役でしかない。
ー たしかに、俳優陣も実力派ばかりです。
いまは、とにかく見たことがない新鮮な映像を見せるという映画の傾向がありますけど、ともするとそれは低予算でもいまの映像技術を駆使すれば素人でもつくれるこの時代であって、YouTubeを探せば、短い断片の瞬発的に凄い映像はごろごろしてる。他の同時代のイケてる映画作家同様に、映像のルックがやたらかっこいいヴィルヌーヴでもありますが、ヴィルヌーヴの本当の主眼はそこじゃない。

ー 技術の発達によって、俳優がいなくても撮れるなんて話もありますからね。
今作は、いまのSF映画の─ひいては映画界全体に対するカウンターのような気概を感じます。現実に即したリアルな物語を創造するか、現実にはあり得ないものを創造するかという二つの単純なベクトルではなく、たとえ現実離れした物語のなかにあっても生身の俳優である身体性が現実味として染み出しているような、そんな複雑な瞬間がこの映画にも多々あります。ハリウッドの大作映画に身を置きながら、微細な機微を描くヴィルヌーヴの作家性でもあり、密かな大作主義への抵抗であるようにも思えます。
ー なるほど。作品そのものへの深め方はもちろん、監督のフィルモグラフィーという縦軸、いまの映画界を踏まえた横軸まで含めた、大島さんの視点はとてもおもしろかったです。
