BOOTCUT × JOGGING SHOES ハイテクジョグシューズとハズしの妙を楽しむ。
もともとウエスタンブーツと組み合わせた時にシャフトを覆えるように、裾広がりなシルエットを備えているのがブーツカットの5ポケットジーンズ。カウボーイの男伊達を象徴するアイテムであり、エンジニアやレースアップなど長めのブーツと合わせた時にキレイなシルエットを描くため、男らしいコーディネートには欠かせないアイテムです。日本でも渋カジブームの頃に〈リーバイス®︎〉の517と〈レッドウィング〉のエンジニアが足元の定番になったのも記憶に新しいところ。そして、ブーツ以外とはマッチしないアイテムかと言えば、実はさにあらず。70年代のヒッピームーブメントの頃はブーツカット(もしくはベルボトム)一択と言えるほど流行したアイテムゆえに、スニーカーと合わせるのも当たり前だったのです。
ブーツカットはウエスタンをルーツに持つアイテムゆえに、選ぶブランドもそれを踏まえて考えたいところ。たとえばジーンズを象徴するパーツと言えば打ち抜きリベットですが、実はウエスタン系ジーンズにおいてはご法度なのです。なぜならば、カウボーイの魂である馬の鞍を傷つけてしまうため。〈リー〉ではバツ印に縫った”スレッドリベット”で補強したり、〈ラングラー〉では表面が平らな“フラットリベット”を採用したりと、いまなおカウボーイからの支持が厚いブランドは各社工夫を凝らしており、それらのディテールも見所&スタイリングのポイントなのです。
そしてブーツカットに合わせるシューズとして今回チョイスしたのは、ジョギングシューズ。ジョギングがアメリカで大流行したのは80年代であり、〈ニューバランス〉の990をはじめとしたジョギングシューズの名作の多くはその頃に誕生しました。しかし、当時はブーツカットにとって冬の時代。70年代に大流行りしたブーツカットが90年代の日本でふたたび返り咲くまで臥薪嘗胆していた期間であり、ゆえに普通は組み合わせないアイテム同士でもあります。しかし、だからこそ、そんなヒッピー的なカルチャーを持つブーツカットに、あえてクリーンでスポーティーで都会的なシューズを合わせ、都市型ヤッピーなノリでミスマッチを楽しんでみようという提案なのです。
ブーツカットの難点が股下に合わせてレングスをカットすると、せっかくの裾広がりなシルエットが消えてしまうところ(泣)。それにロールアップも似合わない。ゆえに裾はダブっと残しつつ、ボリュームのあるジョギングシューズを合わせてコーディネートしてはどうでしょう。イメージは、70年代にヒールブーツと一緒にブーツカットを履いていたヒッピーが大人になって就職してジョギングをはじめた感じ、でしょうか。ほどよくハイテクでほどよくレトロなルックスを持つ〈ニューバランス〉の990v5を足元に合わせれば、フェード感のあるジーンズにクリーンさをプラスしてくれます。
ジョギングシューズ選びはまず、クラシカルなデザインがベースにあるハイテクレトロ系が第一候補。アッパーもソールもほどよくボリューミーで、様々なジーンズとフィットしてくれる万能選手です。よりイマドキ感を加えたいなら、その進化系であるトレランシューズも選択肢として確保しておきたいところ。溶着アッパーやクッション性を確保した分厚いソールが近未来感に溢れ、よりブーツカットとのミスマッチ感を強調してくれるのです。