STYLE4.蒲谷健太郎

PROFILE
スタイリストを経て、ファッションブランド〈バル(BAL))のデザイナーに就任。アメリカやヨーロッパなど、海外のサブカルチャーに精通し、その知識を〈バル〉のクリエイションに落としこんでいる。ファッション媒体でグルメコラムを連載していたこともあるほどのグルメ通。
Instagram:@kentarokabaya
夜ふかしとジョージ・ルーカス。
ファッション、サブカルチャー、食。さまざまな分野に関する造詣が深い、〈バル〉のデザイナーの蒲谷さん。「自分が欲しいものは大体自分でつくれてしまう」と言うように、デザイナーだからこその嬉しい悩みもあるようですが、自身の守備範囲から外れたTシャツ、特にアーティストのマーチを日々買い集めているそう。
そんな蒲谷さんのお気に入りTシャツのフロントには、ひとりの男の顔が大胆にあしらわれています。その正体は、『スター・ウォーズ』でお馴染み、映画監督のジョージ・ルーカス。
「〈シュプリーム〉の初期メンバーのアレックス・コーポランとジオバーニ・エステベスが手掛けていた〈アネックス オリジナル〉のTシャツで、おそらく2002,2003年頃に発売されたもの。当時も欲しかったんですけど、日本に全然入荷されていなくて、買えなかったんです。それであるとき、持っていた先輩に頼んで譲ってもらいました」


若かりしジョージ・ルーカスをあしらった、時代を感じさせるデザイン。さらに、裾には“ANEX 1138”の文字がこっそりプリントされています。これは、ジョージ・ルーカスのデビュー作『THX 1138』から取ったもので、ファンには嬉しいオマージュに。
『スター・ウォーズ』の映画Tは数多く出回っていますが、ジョージ・ルーカス本人をデカデカとプリントするという、ありそうでなかったデザイン。そんなモノ珍しさに加えて、『スター・ウォーズ』にまつわる蒲谷さんなりの思い出が、このTシャツへの想いを強めているんです。
「『スター・ウォーズ』を初めて見たのは、幼稚園生ぐらいのとき。父親に連れていかれて、なにもわかっていないまま見ていたんですけど、子供ながらにすごく面白いなと思ったんです。それから、『スター・ウォーズ』がテレビで放送されていると、親がファンだったから、そのときだけは夜遅くまで起きてていい、みたいなルールがあって。子供って、夜更かしすることに無条件にアがるじゃないですか。そういう思い出も込みで、このTシャツは気に入っています」
レアじゃなくても、流行っていなくても、自分だけの思い出さえあれば、単なるTシャツがかけがえのない1枚になる。そんな大切なことを、蒲谷さんの話を聞いて再確認させられました。