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着ぶくれ手帖カルチャーをなくしたものづくり。金子恵治が手がけるAORのリミックス。
Keiji Kaneko × Adult Oriented Robes

着ぶくれ手帖
カルチャーをなくしたものづくり。金子恵治が手がけるAORのリミックス。

「ぼくはファッションの人間であって、カルチャーの人間ではない。だから〈AOR〉はずっと憧れだったんです」。「着ぶくれ手帖」を主宰する金子恵治さんがそんなことを呟きます。今回取り扱うのは、〈アダルトオリエンテッドローブス(Adult Oriented Robes)〉の服。このブランドのデザイナーである弓削匠さんの背景には音楽が流れています。だからこそ「手が出せなかった」と金子さん。それならば、ということでつくられたのが「AOR Classics」と名付けられたコレクション。カジュアルな〈AOR〉の服をイチから見直し、クラシックなテーラードの手法を取り入れて“リミックス”した今作。その裏側にはどんなストーリーがあるのでしょうか? 金子さん、弓削さんに、思う存分語ってもらいましょう。

王道的なブレザーとチノの合わせ。これを〈AOR〉で表現したかった。

ーネイビーのブレザーはどんなアイテムになっているのでしょうか? スーツのジャケットと同じシルエットですか?

AOR Classics Homebreakers ¥93,500

弓削: いや、違いますね。ブレザーのほうが少しだけ身幅が広めになってます。この幅の広いラペルも新鮮ですよね。

金子: めちゃくちゃ幅が広いですよね。これでサイズ3っていうね。

ーいちばん大きいサイズってことですか?

金子: いや、いちばん小さいんですよ。サイズは5までつくってます。

ーめちゃくちゃ大きいですね(笑)。ディテールはどんなところにこだわりがありますか?

金子: こちらも某トラッドブランドの王道的なブレザーを参考にしています。ポケットはパッチアンドフラップで、ボタンは金ボタン。袖口は3ボタンの本切羽の仕様にしました。

弓削: 金ボタンには弓削家の家紋を刻印してます(笑)。これはぼくが〈ユージュ〉をやっている頃から使っているもので、蔦のデザインだからIVYとリンクするところもいいですね。

金子: ラペルにはあえてステッチをなくして、オリジナルの仕様を踏襲しているのもポイントです。

弓削: ステッチはなるべく省きたかったんです。ブレザーってスポーティなアイテムだから、細かな部分でエレガントなムードを出したかったので。

金子: これはウールのサージですね。綾がしっかりと出ている、ちょっとゴリっとした印象の生地です。普通の紺ブレだったらもっと柔らかい生地を使うんだけど、これはフォルムが特徴的なので、あえて素材も強めにしてシルエットを強調するようなイメージでつくってますね。でも、羽織るとすごく軽いですよ。

弓削: こっちもめちゃくちゃいいですね。ちゃんとフォルムがきれいに出ている。

金子: 肩パッドの入れ方もすごくこだわったんですよ。裄綿も入れていて、大きく着ても肩の形がきれいに出るようにしているんです。

AOR Classics Luck ¥33,000

金子: そしてこのブレザーに合わせる用につくったチノ。こちらはスーツのスラックスと同じシルエットですね。スラックスは2タックでしたが、チノはノータックなので、腰回りがすこしだけすっきりとした印象になっています。

弓削: ブレザーと合わせると、めちゃくちゃおしゃれですね。

金子: ぼくはこれを表現したかったんですよ、〈AOR〉で。おじさんでも着やすいと思いますよ。女の子でも全然着られると思いますし。

弓削: このブレザーも70年代の雰囲気がありますよね。〈ラルフ ローレン〉が創業したての頃のアイテムにありそう。ロバートレッド・フォード版の『華麗なるギャツビー』の世界観というか。

金子: たしかにその時代にあってもおかしくなさそうですね。

INFORMATION

Adult Oriented Rooms

080‐4874‐5038

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