2022年夏のバイイング日記
第一回 イギリス編
PROFILE
ファッションディレクター。「エディフィス」にてバイヤーを務めた後に独立。自身の活動を経て、2015年に「レショップ」を立ち上げる。現在は同ショップのコンセプターを務めると共に、さまざまなブランドやレーベルの監修も行う。
フランスでは“人”がテーマ。会いたい人に会いに行く。
ー前回のイギリス編に続き、今回はフランス編ということで、パリに到着です。

金子:ロンドンから始発でユーロスターに乗り、朝から仕事スタートです。
ーフランスではどんなことをテーマに買い付けをしたんですか?
金子:イギリスではファクトリーを中心に訪問したんですが、フランスでは“人”がテーマですね。会いたい人に会いに行くという感じで。
ーなるほど。

金子:それで早速〈リュテス(LUTAYS)〉というブランドのデザイナーに会いに行きました。値段がすごく高いんですけど、どうしてこんなに高いのか、その理由を突き止めたくて。 話を聞くと、ビスポークのクオリティをみんなに届けたいというコンセプトで、本当に細かな部分まで考えて服をつくっているそうなんです。もちろん“MADE IN FRANCE”で。個人的には〈アルニス(ARNYS)〉の現代版みたいな印象を受けました。


金子:着てみると、やっぱりフォルムが綺麗で、美しい服とはこういう服のことをいうんだなと妙に納得してしまいました。これにはすごく感動しましたね。本当に美しさを追求している感じで、なんだか新鮮さを覚えました。

金子:そして時間があればとにかく撮影をして。パリもすごく暑かったです…。モンパルナスっていうところに泊まっていたんですが、これは旅をテーマに大きなバッグを持って撮影に臨みました。
ーパリに着いた時点で、出張10日目くらいですか?
金子:それくらいです。まだ10日なの?っていう話をずっとしていた気がします。なんだか濃厚すぎて。アポイント以外にたくさん寄り道をして、目的以外のものをバイイングに繋げていくという、僕の持論は彼にしっかりと体験してもらっていたので、この時点でかなり有意義な時間を過ごせていたと思います。
ー食事も美味しそうです。


金子:これはシンプルな料理でめちゃくちゃ美味しかったですね。現地の人に聞いて行ったレストランなんですが、やっぱりローカルの情報が信用できるというか。美味しいうえに洒落てるっていう。