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大島依提亜が見た、アキ・カウリスマキの映画館「キノ・ライカ」の外側。
Travelling to the theatre

大島依提亜が見た、
アキ・カウリスマキの映画館「キノ・ライカ」の外側。

映画『キノ・ライカ 小さな町の映画館』が12月14日に公開されます。キノ・ライカはフィンランドの田舎町カルッキラに、映画監督アキ・カウリスマキが共同で作った映画館のこと。同作のデザインを手掛けた大島依提亜さんは、実際に映画館に足を運んだことで、映画では描かれなかったその素晴らしさに感動したそう。今回は、大島さんが撮影した現地の写真とリアルな感想をもとに、映画とはまた違った視点で「キノ・ライカ」の魅力に迫ります。

  • Photo_Hiroki Oe
  • Text_Taisaku Ikeda
  • Edit_Yuri Sudo
  • Special Thanks_ユーロスペース

大島さんとカウリスマキ。

ー大島さんはこれまでにカウリスマキ作品を長きに渡って、パンフレットなど日本のビジュアル制作をされてきたんですよね。最初に手がけた作品は?

駆け出しの頃、『過去のない男』のデザインが最初です。2003年だったかな。恥ずかしながら、それまではあまり観ていなくて、『白い花びら』と『浮雲』くらいで。ただ、僕はジャームッシュがすごく好きなので、カウリスマキ自体は知っていて、そこから後追いです。ジャームッシュとは共通する部分も非常に大きいと思っています。

ー長年携わっている大島さんからご覧になって、カウリスマキ作品はどうですか?

改めて思うのは、カウリスマキの映画は変わらないんです。すごく寡作な監督なので、僕の駆け出しの頃から今までのキャリアの中で季節労働者的に関わらせてもらってます。だから、その時その時の自分が試されている気がするんです。その時の流行り云々というよりは、その時の自分のスキルやセンスのような物を当てはめていく感じで、不思議です。たとえるなら、変わらない味のラーメン屋さんがあるけど、実はその時代、時代によって少しずつ味を変えているという感じ。パンフレットの構成も全作品でほとんど同じです。もちろん変えてもいいんだけど、ここまできたらというのと、カウリスマキ作品のスチールをずっと撮られてる方がいるんですが、そのスチールが素晴らしい。本編映像と同様に素晴らしいんです。それを最大限に活かす方法を考えます。

ーフィンランドを訪れたことで、カウリスマキ作品に対する眼差しは何か変わりましたか?

今回のフィンランド訪問は、7年ぶり2回目でした。久しぶりにヘルシンキに行くと、どんどん洗練されていっているのがわかります。でも都市というのは洗練されればされるほど、均一化していきますよね。だからカウリスマキ作品で、変わらないロケーションを探すのはどんどん難しくなっているんだろうなと映画だけ観ていても感じます。だから手間とコストはおそらくかかっているはずで、そうしてでも変わらず守られているという事実だけで涙しちゃうみたいなところがありますね。たとえば、昔、『過去のない男』で観たような何気ないシーンが非常に貴重で愛しく感じられます。

ーそういえば、今回はフィンランドの代名詞であるサウナとかは見て回れたんですか?

行けなかったですね。でも、今回痛感したことがあって。フィンランドの文化は、サウナや北欧のデザイン家具、ムーミンとかトピックがいっぱいあるじゃないですか。でもなんていうんだろう、全部が分離している気がしたんです。たとえばカウリスマキ文化のなかにムーミン要素は全くない。北欧デザインもカウリスマキ映画には感じません。もちろん色彩含めてデザイン的な映画ですが、モダンで洗練されている感じはしない。それぞれのコンテンツが独立して全く関わりなく存在しているということがわかって、すごく不思議でしたね。でもそこがフィンランド自体のおもしろさでもあるのかも。

INFORMATION

『キノ・ライカ 小さな町の映画館』

監督・脚本・撮影・編集:ヴェリコ・ヴィダク
脚本:エマニュエル・フェルチェ
出演:アキ・カウリスマキ、ミカ・ラッティ、カルッキラの住人たち、ジム・ジャームッシュ、マウステテュトット、ヌップ・コイヴ、サイモン・フセイン・アルバズーン、ユホ・クオスマネン、エイミー・トービン
原題:CINEMA LAIKA
配給:ユーロスペース
提供:ユーロスペース、キングレコード
©43eParallele

2023年/フランス・フィンランド/81分/2.00:1/ドルビー・デジタル 5.1ch/DCP/フィンランド語、英語、フランス語/ドキュメンタリー
2024年12月14日(土)ユーロスペースほか全国順次公開

公式サイト

【キノ・ライカ特別展示】

会場:ユーロスペース
期間:2024年12月14日(土)~終了日未定
展示グッズ:キノ・ライカ オリジナルTシャツ、パーカー、キャップ、ニッティング・ボックス、ビール、ポスター、ミカ・ラッティ詩集、ポストカード 他

【舞台挨拶・トークイベント】


会場:ユーロスペース
住所:東京都渋谷区円山町 1-5 4F
日程:12月14日(土)12:15の回上映後、14:20の回上映後(いずれも舞台挨拶およびQ&A)、12月15日(日)14:45の回上映後(Q&Aのみ)
登壇者:ヴェリコ・ヴィダク監督


会場:シネマネコ
住所:東京都青梅市西分町3丁目123青梅織物工業協同組合敷地内
日程:12月15日(日)10:00の回上映後
登壇者:ヴェリコ・ヴィダク監督

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