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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.142 “なんかスゴイのよ”チコズデザイン。総刺繍Gジャンがなんかイイじゃん。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

この連載もいつの間にか18シーズン目に突入し、新たなショップでお届け。第142回目は、東京・世田谷区松陰神社前にある「コンプ(comp)」の2巡目。店主の石川さんは、どんなニュー・ヴィンテージを紹介してくれるのでしょうか!?

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


石川大樹 / comp 店主
Vol.142_チコズデザインの総刺繍Gジャン

ーさて、今回紹介いただくニュー・ヴィンテージなアイテムとは?

前回は“キッカケひとつで、多くの人々から評価される可能性を持っているモノ”として〈クラウドベイル(Cloudveil)〉のジャケットを紹介しました。続く今回は〈チコズデザイン(CHICO’S DESIGN)〉の総刺繍Gジャンなんていかがでしょうか?

チコズデザインのデニムジャケット ¥12,100(コンプ)

ーたしか“希少性よりも、大量生産によって多くの人々の目に触れやすく、評価されやすい土台ができている”をニュー・ヴィンテージの定義として仰っていました。

ですね。その点、〈チコズデザイン〉はシーズン15で「アツラエ ヴィンテージ(atsurae vintage)」の川崎さんが取り挙げていたこともあって、読者に刺さりやすいのかなって。買い付けの中でたまたま出会い「面白いな」と感じてピックしていたら、いつの間にか集まっていた。自分の中で〈チコズデザイン〉はそんなブランド。アメリカ生まれで創業は1983年。民芸品的なメキシカン雑貨を扱っていた小さなお店だったのが、のちにウィメンズを主力とした服をデザイン&制作販売するようになったとか。これまでウチで扱ってきたのはリネン素材の無地シャツが多く、ライトアウターはコレが初です。

ーたしかにライトアウターは珍しいかも。同ブランドの近年のラインアップからは落ち着きのあるヤングミセス向けという印象を受けるのですが、それに比べてもかなりパンチ力強めです。

インパクトありますよね。初見時は「メチャクチャ刺繍が施されているし、前オーナーがリメイクしたのかな」と思っていたんですよね。だって全体に柄を刺繍し、その上でビーズも随所にあしらっているだけでなくパーツの合せの上からも刺繍が入っていますからね。こんな面倒な服を既製服として量産するなんてあるのかなぁって。それが数着集まるに伴い調べていく内に「どうもオリジナルなのでは?」と考えを改めまして。

ー何の柄でしょうか?

何だろう? 太陽や動物のようなモノが描かれていますよね。ネットで調べたところ、古着市場では“壁画柄”と呼称されているとか。といってもチコズが自分らでそう名付けたわけではなく、あくまでも通称だと思います。ボディはシルエット的にかなり細身でウエストもシェイプされているため、ウィメンズでしょうか。ギリギリ着れるくらいのサイズ感ですが、痩せている人ならメンズでもイケそう。

ーもう一着の方がタイトですが、柄のテイストがちょっと異なるような。

こちらは街の風景? 日本のブランドだと〈キャピタル(KAPITAL)〉なんかにも通じる手仕事・クラフトノリといいますか。古着好きには1点もののカスタムを好む方も多いと思いますが、これの面白いところは、そのノリでありがらも実は量産品であるという点です。

チコズデザインのデニムジャケット ¥11,000(コンプ)

ーその意外性が最大のポイントかもしれません。

子どもが描いたようなヘタウマな雰囲気もありつつ、メキシコや南米系の雰囲気もありつつ。ぼくの目にはすごく新鮮に映りますね。ジャケットというよりもシャツジャケット寄りのオンスの低さで、軽く羽織れるのもポイント。刺繍の色合いは東南アジア系の民族っぽさを感じさせつつ、ボタンは南米系のニオイ。このように1着に色々な国のテイストが混ざりながらの、ちょいミセス感もおもしろ味といいますか。

ーだからか、松陰神社前というローカル感のあるロケーションにもフィットしそうな趣きで。

そこは間違いないですね。古着だからといってウンチクや知識が絶対に伴わなければいけないワケでもなく、パッと見で伝わるおもしろさですよね。デザイン古着に近いけれど、再現性があって探せばまだ見つかりもする。その距離感がちょうどイイっていう。

ーこれでサイズが大きければ、もっと注目されそうな…。

う〜ん、それはなかなか難しい気がします。これも両方とも0号ですし、チコズが見つかるのが基本的にウィメンズの倉庫なんですよ。そもそもブランドの購買層的にアメリカらしく大柄でふくよかなタイプが少ないのか、大きなサイズが出てこない。さすがに「人気すぎてチコズのグッドサイズが枯れた」なんて考えづらいし(笑)、そもそもタマ数が少ない可能性も。

ーブランドの背景的にヒッピー的な趣味嗜好もあると思うので、男性があえてウィメンズを着る。というのもあったのかも。その昔、オシャレな人は“男性でもウィメンズ服をあえて着る”っていう文化もありましたし。

どうなんですかね(笑)。なんにしろ、これだけドギついデザインであれば、フロントがウィメンズ合わせでも気にならないので、あえてアメトラスタイルに取り入れてみるのも良さそう。ボトムスはチノパンでもミリタリーパンツでも。コテコテになりがちなところに違和感を感じるほどの存在感を持ったアイテムを投入し、でもシンプルに合わせてみる。そのちょっとしたスパイスというか違和感が楽しいんじゃないかなって思います。

石川大樹 / comp 店主
気が付けば古着屋激戦区となった東京・世田谷区松陰神社前の商店街入り口付近に、2025年6月にオープンした「コンプ(comp)」の店主。“チープシック”をコンセプトに、訪れたひとが流行や価格を気にせず、気軽に楽しめる古着を提案。自分に本当にフィットする服が見つかると、古着ビギナーから業界関係者までが注目するルーキー店である。
インスタグラム:@comp_used_clothing

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