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蔡俊行フイナム発行人ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

代官山通信

蔡俊行
フイナム発行人

ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

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原稿やり直しの話

2008.11.19

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 ここ数日、原稿仕事に追われている。大した文量ではないけど、似たようなトピックを書くので前に書いたものと被らないようにしなくてはならない。記憶力がニワトリ以下な自分にとっては、以前の原稿ファイルから原稿を引っ張り出し、同じエピソードを書かないよう気をつけているつもりだ。それでもたまに過ちを犯す。
昨日下書きした原稿も書いている最中、デジャブのような感覚に襲われ過去のファイルを紐解いてみるとビンゴであった。やばい。
一応稿料をもらっているプロとしてそれはまずいだろということで書きなおし。人によるかと思うが、ぼくは個人的にこの書き直しというのがとてもイヤ。気が乗らない。自分のせいとかひとまずおいといてだが。
そういえば昔、雑誌の原稿を自宅で書くため、レイアウト指定紙の原本とポジ写真(これも本ちゃん)などもろもろを持って帰った。まだパソコンやワープロで原稿を書く以前の話だ。
ペラと呼ばれる200文字詰めの原稿用紙に向かい、14時間くらいかけて原稿をびっしり書いた。たしか雑誌のページで8ページ分くらい。
徹夜の頭でふらふらしながら会社にいったら、あれ、封筒がない?
その時の分泌したアドレナリンは、たぶんワールドカップの決勝延長戦残り30秒で逆転ゴールを決めたフォワード以上にドバドバだったと思う。
どこで忘れたんだろう? まったく思い出せない。電車かタクシーか。数時間かけて方々に電話し調査するも遺失物は出てこない。それでも粘るが出てこないものは出てこない。やばいすでに色校ぶっちぎっているモードであるし、出張校正スケジュール。明日朝までなんとかしないといわゆる「落ちる」。
もはやこれまで。
頭を切り替えもう一度やり直そう。それしか選択肢はない。
そこでレイアウトのデザイナーに頭を下げ、やり直してもらうことに。
まず写真のセレクトを最初から。幸いアザーポジがあったので近似値な画をチョイス。そしてレイアウト用紙のコピーを元に再度アタリを取ってもらい、指定紙も作り直してもらった。あの時は担当デザイナーが神に見えた。もちろん後日、ご馳走しましたよ、ええ。
同時に原稿を書く。せっかく書いた原稿がパソコンのハードディスクが入稿直前にイってしまったと想像してみてください。
誰も助けてくれない。ぜーんぶ自分のフォルト。明け方くらいが一番つらかった。
しかし明けない夜はない。
朝、印刷所のおっさんが入稿セットを取りに来るのだが、その前に掃除のおばさんたちがゴミ箱をひっくり返す轟音が響く。やばいあと1時間しかない。
書いているそばから赤入れしながらの入稿作業。なんとか直前に全部耳をそろえて間に合わせた。そう、やればできる。Yes, we can。
銀東(銀座東急ホテル)で夜明けのカレーライス2000円とビールをがぶ飲みし、タクシーで帰宅後、まる2日半の徹夜を取り戻すように眠ったあの日の達成感は後々語り継がれるだろうなと思いながら布団に入った。ここにこうして語り継いでいるように。
まああの事件に比べればたいしたことねえよ、と昨日はスイッチを入れ替え原稿を書きました。たったの1000字だし。

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