ランドセル - 代官山通信（蔡 俊行）

　日本中に伊達直人が出現しているらしい。タイガーマスクといえば、ぼくら世代にはぴったりフィットするアニメ。戦争孤児だった伊達直人が育った施設の子供たちに夢を与えるために戦うストーリー。当時は戦争が終わって20年とはいえ、まだまだその傷跡は残ってたんだね。

　今朝ワイドショーを見たら、タイガーマスクのシングル盤レコードが映し出されていたが、B面が「みなしごのバラード」。放送に乗っけていいのかこのワード、と思いながら画面を注視した。

　昨年作られたアニメ映画「みなしごハッチ」のリメークも「みつばちハッチ」になっていたので、やはり「みなしご」はあまり喜んで使われる言葉ではないようだ。そもそも近年この言葉を使って誰かがいじめられるなんて事態をあまり聞かない。もはや死語の領域に入ったと思われる。

　そんなことはさておき、この伊達直人騒動、善意の人たちの善意の気持ちなのかただの目立ちたがりなのか、どうにもすっきりしない。どうにも気持ちが悪い。本名を堂々と名乗って施設に寄付し、子供たちや受け取る人たちには匿名でお願いしますとした方が何倍も美談になると思うのだが。

　どこにどんな風に使われるか分からない変な組織への寄付よりも、ランドセルの方がマシだという気持ちはよく分かるんだけど。