小径逍遥、再び。
青野賢一
ビームス クリエイティブディレクター / ビームス レコーズ ディレクター
「ビームス創造研究所」所属。選曲・DJ業、執筆業。音楽、ファッション、文学、映画、アートを繋ぐ。
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No.3 果実を巡って
2009.06.24
もうひとつのブログでも書いたが、
最近は果物に恵まれている。
この季節だと、
枇杷、さくらんぼ、桃、梨、水瓜、メロン
といったところだろうか。
旬のものを摂ることは、味覚的な部分もさることながら、
精神的な充足感にも繋がる。
果物について思いを巡らせていて、
それらの多くが球形もしくはそれに近い形状だということに
改めて気づいた。
バナナだって木に生っている房の状態だと
ずいぶん球形に近い。
種から発芽し、花を咲かせて果実をつける。
この一連の循環構造のひとつの到達点として
果実をみるなら、なるほど、非常に象徴的なかたちであり、
理想的なかたちではないだろうか。
「実を結ぶ」という表現も「結ぶ」というところに
循環的であり円環的な構造が見え隠れしていて
なかなか面白い。
果物といえば、
綺想のマニエリスム画家、アルチンボルドの作品が
Bunkamura ザ・ミュージアムで展示されている。
会期の長い展示は、
持ち前の暢気さから
うっかり見逃すことが多いので
留意しておきたい。
『四季』や『ウェルトゥムヌスに扮したルドルフⅡ世』などが
有名なアルチンボルドだが、
『フローラ』はグロッタ趣味と可憐な美しさが
絶妙な不協和音を奏でる傑作である。
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