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青野賢一ビームス クリエイティブディレクター / ビームス レコーズ ディレクター「ビームス創造研究所」所属。選曲・DJ業、執筆業。音楽、ファッション、文学、映画、アートを繋ぐ。www.beams.co.jpshop.beams.co.jp/shop/records/blog.beams.co.jp/beams_records/

小径逍遥、再び。

青野賢一
ビームス クリエイティブディレクター / ビームス レコーズ ディレクター

「ビームス創造研究所」所属。選曲・DJ業、執筆業。音楽、ファッション、文学、映画、アートを繋ぐ。
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No.15 コラージュ

2010.02.26

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雑誌『装苑』4月号に、コラージュの特集がある。


NYのテキスタイルデザイナー、ルル・クヴィアトコウスキの
「Afternoon Delight」で幕を開けるこの特集は、
アートの領域のみならず、
音楽やファッションにおける"Cut & Paste"を
広範かつ丁寧に追ったものだ。


現代の作家の作品を導入に、
コラージュの歴史、
サンプリング&コラージュミュージック、
テキスタイルのコラージュであるキルトの話題など、
一見バラバラに存在しているような
事象をまとめたこの特集自体が
コラージュの様相を呈しており、
入れ子構造になっている点は
大変興味深い。


異質なもの同士を組み合わせ
本来の性質を剥奪することで
新たな価値を創造せしめるコラージュではあるが、
それに近いような遠いようなことを
先日体験した。


写真とシンプルなキャプションの組み合わせから
ページが成り立っている、文庫本サイズの本。

写真は、いろいろな日本人女性をスナップ的に撮影したものだ。
キャプションには、出身地、年齢、職業などが書かれている。

これを見たのは、懇意にしていただいている
デザイナーの方の事務所で、
私が見たそれは、いわゆる刷り見本的なものだったのだが、
中身は本番用の写真が使われていた。

ある程度体裁が整って、
あまりにも逸脱した内容でなければ、
読み手は写真とそれに付されたキャプションとの関係性を
疑うことはない。

実は、写真とキャプションとは
何ら関係性がないものだとしても。

実際、この刷り見本の写真とキャプションとは
全くのデタラメで、デザイナーがダミーで入れたものだと
後から知らされたわけだが、
実像をはるかに越えてイメージを膨らませるだけの力が
そこにあるということを改めて体験出来たのは
非常にいい経験であった。


物事に対する先入観。
そしてそれを裏切る試み。


いろいろなことと繋がる面白さだ。

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