紙飛行機で宇宙旅行。 --ものについて。時々酒と、下ネタと。--
Ray and LoveRock
「写真を撮る人」
Ray and LoveRock(れい あんど らぶろっく)写真を撮る人、ファッションエ ディターでもある人。フツウの人ではありますが、生きることはどちらかという と下手です。文章もロックンロールしていければ良いなぁ。「ものや写真、少し はカルチャーのことなんかを書いていきたいですが、お酒のこと、下ネタも好き なんで、お付き合いください」
http://blog.livedoor.jp/rayandloverock/
白日夢の夢。
2012.04.23
あまりにも不思議な夢だった。
起きてからもその感触は残り、匂いも音も、
ただ、欠けているのは温度。
その場所は暖かくもなく、寒くもない。
「楽園」という言葉を頭で描いてみた。この「温度」
ぼくは家族と水上の家のようなところに住んでいる。
ぼくはすでにその白い世界で、温度のなさにかまけて、
目の前が広がるのだけれど、そこには船があって、
女性のひとりは知らない人なのだが、もうひとりは知っている。
"あ、清水さんだ!(仮名)"と思うのだけれど、声がでない。
もうひとりは熱心に原稿を書いているようなのだが、
「乳首をこう転がして......」
と言いながら実際に乳首をびろんとブラジャーから服からまくり上
"ファッション誌なのに......"
と思った疑問のせいか、
おもむろに、清水さん(仮名)が海を渡って、
ブルーのワンピースが眩しい。
清水さん(仮名)に関していうと、実在の人物で、
そう、まさか夢にまで出ててくるなんて!?
彼女がぼくのそばに歩み寄って来る。
ふたりで水際に座って、久しぶりだということを確認するけれど、
海の匂いがして、かなり朽ちている木製の椅子に彼女は座り、
子どもがぼくたちの周りを走って遊んでいる。
彼女を椅子に座らせたまま、一度ぼくは自分の部屋に戻る。
"どうしたの? 疲れているんだね"
と心のなかでいうと、ちゃぷちゃぷという水の音、
"ううん。あなたの顔が見たくて"
水の音とは別な場所――たとえば胸のなかに直接――
ぼくは自分が撮影した写真を彼女に見てもらう。
"ファッショナブルよ"
そんな風に風の音とは別な場所――たとえば眼のなかに直接――
ぼくは向かいに顔を会わせるように寝そべる。――
ふたりは見つめ合って、何か、そう"何か"を話している。
"あなたの顔が見たいの"
また、どこからともなく、
清水さん(仮名)は写真を縦にして持って、顔を隠すように、
美しい眼だと想う。見とれているぼくがいる。
写真を挟んで、彼女がキスを誘っているのがわかる。
重なりあう唇。暖かく、柔らかく、切ない感触。
キスの時間。楽園の時間。
ぼくたちはキスをしたのだ。
叩きに水が入ってくる。
やれやれ。満潮だ。
彼女が帰れなくなってしまう。
ぼくは、キスを止めて。
おもむろに立ち上がる。
彼女にも、立つように誘う。
彼女の白い手が延びて、ぼくに向かう。
その手を取って、彼女を引っ張りあげる。
"あ"
彼女の声が聴こえてくる。
脳に。
ダイレクトに。
ぼくは彼女をおんぶして、海に足を浸ける。
思ったより深い。
海の水は青く、そしてどこまでも透明で。
ごつごつとした岩、溶岩のような底が見渡せる。
そして、温度だけがない。
ぼくは腰まで遣って。
彼女も濡れてしまった。
彼女の船は木造船だった。
彼女の船に辿り着くと、
そして、はじめてぼくの耳が清水さん(仮名)の声を捉える。
「ほかのところも濡れたみたい」
声にしなくてもわかっていた。
だけれど、どうしようもないのだ。
ぼくは泳いで自分の家に戻った。
叩きで寝転がって、
「ここの2階もうちの会社なの」
といって、うっとりするような眼をこちらに向ける。
やれやれ。最初に巻き戻したみたいだ。
せめて、温度があったら。そう思うくらいが精一杯だった。
