Enchantment of Dr.Martens. Dr.マーチンに惹かれる理由。 - page1 - FASHION FEATURE

－初めて購入したときのことを訊かせていただけますか？

土井地 博（以下土井地／敬称略）： 高校生の頃ですかね。当時は〈ゲッタグリップ〉か〈レッドウィング〉か、〈Dr.マーチン〉を履いてました。

－それは8ホールですか？

土井地： はい。ブラックで、ステッチが黄色の8ホールを履いていました。あの頃は、このジャンルのシューズと言うと〈Dr.マーチン〉くらいしか知らなくて、見よう見真似で、買ってすぐにトゥの部分を削って履いてましたね。

－最初の出会いについては覚えていますか？

土井地： 周りの先輩方が、それこそ洋楽専門雑誌や映画まんまの格好をしていて、そんな影響からですかね。大学で大阪に来てからは、ネオスキンズとかモッズとかも流行っていたのでその影響も強かったんです。だから、ファッションアイテムというよりは音楽好きな方々が〈Dr.マーチン〉を履いていて、その感じがカッコ良くて取り入れていたって感じですかね。

－その後は、どういった変遷を？

土井地： そんなに頻繁に履くわけではありませんでしたが、8ホールは下駄箱に必ずありました。ドレスやカジュアルなど色々なシューズを履く中で、ラフに履けるレザーシューズというジャンルで〈Dr.マーチン〉は突出していましたからね。

－皆さん、おっしゃいますが、ドレスシューズとスニーカーの中間ぐらいの捉え方ですかね？

土井地： そうですね。以前よく履いたのは30歳くらいの頃で、若い頃はTシャツにデニムで〈Dr.マーチン〉っていうスタイルだったんですが、その頃は〈リック・オウエンス〉に〈グイディ〉ではなくて、敢えて〈Dr.マーチン〉を合わせたりしていました。

－その「敢えて」な感覚はよく分かります。人とは違うところを攻めたくなる。

土井地： 最近は以前ほどにはデザイナーズを着なくて、トラディショナルなスタイルに下ろしたての〈Dr.マーチン〉を選ぶことが多いかもしれません。そうやって考えると、「シューズを10足だけ選びなさい」と言われたときに、〈オールデン〉の990や〈コンバース〉のオールスターなどと共に、必ずラインナップするシューズのひとつだと思います。

－自分的な定番シューズのひとつだと。履きこなし的には、いかがですか？

土井地： ハズしとして取り入れることが多いです。自分的には、奇麗で毎回毎回手入れして履くというより、履き込んで味が出る、少し泥臭い感じが好きなので、ラフに履くことを許してくれるシューズとして取り入れる感じです。
それで、この秋冬に履くなら、ちょっと履き込んだヴィンテージっぽい風合いのデニムに合わせたいです。

－揺り戻しですか？

土井地： ここ最近はリジットとかワンウォッシュのデニムがメインストリームでしたけど、自分の中ではヴィンテージっぽいデニムに、今っぽさを感じさせる〈サカイ〉のトップスを合わせるようなスタイルが気になっているんですよね。ずっとクローゼットに積み上げられたパンツの上部ばかりからピックアップして履いてましたが、今は１番下から引っ張りだすというか、選ぶパンツが入れ替わってきたタイミングなのかもしれません。

－メンズファッションシーンが若干停滞気味だから、かき混ぜたくなる気持ちは分かります。

土井地： いろいろ試してみて、またルーツ的なところに戻ってきてるのかもしれません。

－結局、好きなモノは変わらない？

土井地： そうですね。ちょっと見直すタイミングな気がしています。

－となると、〈Dr.マーチン〉を選ぶ機会も増えそうですね。そして、またBEAMSで面白い別注企画が生まれるのも楽しみにしています。