06.ピザとスケートとファット。

パリっぽくない? セットアップ。
パリのステレオタイプってなんだろう。グレーな石造りの建物。マロニエの街路樹。通り雨と青空。美しい教会の鐘の音。素敵なショーウインドーにシックな人々……。僕らはそういったザックリとした正解からは、ズレたアングルでパリを楽しんだ(かもしれない)。
アメリカの(ピッザニスタ)よろしく、パリのピザ屋(PIZZU)でホール食い。ツールドフランスのような洒落たロードレーサーではなくスケボーで街を流す。シックでタイトな装いではなく、ファットなストリートルックで遊ぶ。そう、シックではない人々!!! ガチャガチャとした街の喧噪!!! エンドレスなフランス語の会話……。

パリは、たしかにヒストリックな街で、芸術や文化に富んでいた。しかし、それ以上に多種多様な人間がいて、それこそ移民もたくさんいて、いろいろなバックグランドをもった人々がストリートにいる。だから、スケートもまったく違和感なく、街に溶け込んでいる。もしかしたら、車社会のロサンゼルスや東京よりも、日常的なスケートがストリートに溢れているかもしれない。
余談だが、帰国後、スケートショップ(Nozbone)のオーナーからメールが届いた。パリで僕らが着ていた、バンジャマンのスケート写真とコラボレーションした〈FAT〉のアイテムに、とても興味を持ってくれたようだ。そして、またすぐパリに来いと。ちなみに。パリでスケートのベストシーズンといえば9月だと、街の誰もが口を揃える。そして、必ずどこかでOGバンジャマンと出会えるはずだ。

金沢の美術大学へ留学経験があるスケーターのエミリアンは、ストラスブールからパリに引っ越してきた。グラフィックデザイナーをしながら〈マジェンタ〉でソイ・パンディが作るアパレルラインを手伝っている。彼のように何かしらで日本と繋がっているスケーターが多いのもパリジャンスケーターの特長かもしれない。