本の装丁を考えるときは、お菓子の箱やチラシも参考にする。

PROFILE
1993年生まれ、愛知県出身。東京藝術大学デザイン科大学院卒業後、デザイン事務所「コズフィッシュ」へ。広告や展示会、雑誌から書籍まで、幅広くデザインを手掛ける。今年の8月に独立を果たした。作品やアートブックなども制作・発表している。
Instagram : @wakidaasuka
ー まずは独立、おめでとうございます。以前所属されていた「コズフィッシュ」といえば、デザイン事務所のなかでもとても有名ですが、辞められるときに迷いはなかったですか?
脇田:ありがとうございます。実は、学校を卒業したらすぐにフリーでやろうと思っていたんです。でも、在学時に教授から「どこかに入ったほうがいいよ」とすすめられて。会社じゃないと学べないことはあるし、そっちのほうが結局早いよと。だから、「コズフィッシュ」に就職するときに、3年くらいしたら独立したいですと最初から伝えていたんです。なので辞めるときもそろそろだよね、って感じで円満退社でした(笑)。
ー 結果的に、「コズフィッシュ」へ属してみてよかったですか?
脇田:絶対によかったですね。すぐに独立しても何もできなかった気がします。仕事の基本のやりとりもできなかったし、甘ったれていたなと思いますね。


ー 仕事を続けてきて、やりやすい制作担当者や編集者ってどういうひとだと思いますか?
脇田:ワガママに聞こえるかもしれないですが、味方でいてくれるひとはありがたいなと思います。編集さんって、いろんな制約を守らなきゃいけない。そのなかで、ものをつくることをファーストにしてくれるひとは信頼できるなと。あと、すごい大事なことをメール1本で済まされるのもちょっと嫌かもしれないですね。相談ではなく決定か、って思ったり(笑) 。
ー 参考になります。誰もが知る雑誌や国民的キャラクターに関するデザインも多数手がけていますが、デザインをする上で心がけていることはなんでしょう?
脇田:最近、手グセでやっちゃってるなって気づいたんです。それなりにはなるんですけど、同じことをやっている感覚になって。それはやめなきゃと常に思っています。

いままでに装丁を手掛けた本の一部。右下は脇田さんのアートブック「HAPPENING」。
ー それを打破する対策みたいなのはあるんでしょうか?
脇田:もちろん持っている本を見返すとかもあります。ですが、たとえば本の装丁を考えるときに、本の装丁を見るんじゃなくて、お菓子の箱を見たりチラシのデザイン見たり、別の媒体のものを見てピンとくることは多いかもしれないです。
ー 最近されている仕事はどういったものがありますか?
脇田:戯曲集のデザインとかをしていますね。簡単に言えば脚本ですけど、やっぱり普通の本と違うルールがあるんです。名前があってト書きがあって、文字の大きさの差とか、ニッチな世界のルールがあって楽しいんです。