PROFILE
ファッションディレクター。セレクトショップ「エディフィス」にてバイヤーを務めた後に独立。自身の活動を経て、2015年に「レショップ」を立ち上げる。現在は同ショップのコンセプターを務めると共に、さまざまなブランドやレーベルの監修も行う。
2年半ぶりのバイイング。
ー2020年にパンデミックが起こってから約2年半ぶりの海外出張ということで、今回はそこで金子さんが見てきたもの、バイイングしたもの、感じたことを記事にしたいと思います。
金子:よろしくお願いします。

ー海外出張はようやく会社から許可が出たという感じなんですか?
金子:そうですね。「行って来い」という感じでした。でも、正直ぼく自身はあまり乗り気ではなかったんです。円安だし、治安が良くないという話も聞くし、コロナの差別の話もあったりして、ちょっと不安だったんですよ。
ー今年に入って円安が急速に進んでますよね。そのタイミングでのバイイングは、いろいろと制約がありそうですね。
金子:物価も上がってますし、どれだけ買えるか正直未知数でした。だから期待されても難しいということは、行く前に会社にも伝えていたんです。ダメなりに一応見てきますけど、という感じで。とはいえ行くからにはベストを尽くしたいし、なにかしらアイデアを拾ってきたりとか、最終的に仕事に繋がるようにしたいとは思っていました。
ー行かれたのはイギリス、フランス、そしてアメリカですよね。しかも7月で、バイイングとしてはやや遅めの時期ですよね。

金子:そうですね、普通のバイイングよりはちょっと遅めの時期でした。それでもイギリスなんかは、工場に行けばものづくりの交渉ができたりするんです。あと、今回はぼくと一緒に「レショップ」のスタッフも二人連れて行きました。
ーヨーロッパとアメリカで、それぞれ一人づつ同行されたんですよね。
金子:はい。バイヤーを増やして、ゆくゆくは(レショップを)暖簾分けしていきたいので、みんなの経験値を上げて行くために同行をお願いしました。それぞれ個性のあるスタッフで、ひとりはヨーロッパ好きで、もうひとりはアメリカ好きなスタッフだったのでちょうどいいなと。

ー二人のスタッフに、バイヤーとしての心得を伝えるというのも裏テーマとしてあったわけですね。
金子:それで二人にも行きたい工場や、見たいブランドのネタ出しをしてもらって、そのなかで精査しながらスケジュールを組みました。