FEATURE
たかがTシャツ、されどTシャツ。 10人のMY BEST Tシャツ。
MONTHLY JOURNAL JULY 2023

たかがTシャツ、されどTシャツ。
10人のMY BEST Tシャツ。

Tシャツほど着る人のスタイルが表れたり、その人だけのストーリーが込められたファッションアイテムはないかもしれません。旅先で手にしたものに、無地だからこそ素材やシルエットにこだわったり、憧れの先輩といっしょにつくったTシャツだったり。興味のない人からしたら、たかがTシャツかもしれません。でも、その人にとったらスペシャルなもので、ある意味“究極の自己満”なファッションアイテムとも言えるはず。10人が選ぶ今夏のお気に入りTシャツに込められた、そんなスペシャルなストーリーを聞きに行きました。

STYLE10.中津川吾郎

PROFILE

2009年に「COMEBACK MY DAUGHTERS」のドラムスとして活動しながら、池上に自転車とアパレルを扱う「ミンナノ」をオープン。2015年からは原宿にセレクトショップ「TOXGO」を構える。いまはさまざまなブランドをプロデュースするなど、ショップオーナーの枠を超えて活躍している。
Instagram:@minnnanoo

新しい価値観を教えてくれるブートT。

「ブートレグはエデュケーション」

そう語るのは、池上にお店を構える「MIN-NANO」のオーナー、ゴローさん。バンド「COMEBACK MY DAUGHTERS」の元メンバーでもあり、昔からハードコアやパンクに夢中だったゴローさんらしく、ピックアップしたTシャツは音楽もの。イギリスのポップ・デュオ「エブリシング・バット・ザ・ガール」のブートTです。

「元々、このグループが好きだったっていうのもあるんですけど、いまはヴィンテージのバンTは高騰しているじゃないですか。サイズ感も好みじゃないものが多くて。でも、これはボディが〈ロサンゼルスアパレル〉で自分好みだし、フェードした黒の色味も好きで、最近よく着ています」

オフィシャルにはない、ブートレグならではのデザインが光る1枚。これまで白Tを着ることが多かったそうですが、「最近の気分はもっぱら黒」とのこと。24時間だけプレオーダーを受け付けて、それっきり販売はしないという、ブートならではの商売っ気のない姿勢にも、ゴローさんは心を掴まれたようです。

そんなTシャツは、とあるアメリカ人がつくっているもので、インポートと古着を取り扱っている平塚のショップ「dude inn」のスタッフのTAKAさんに教えてもらったとか。デザインだけでなく、ブートレグというカルチャーそのものに、ゴローさんは魅力を感じているみたいです。

「ブートのTシャツは、オフィシャルになかったり、ヴィンテージのものから着想を得たデザインが多くて、掘り起こされていないカルチャーをピックアップするっていう側面があると思うんです。だから、Tシャツを通じて、知らなかったことを教えてもらえる。言わば、教育みたいなものですよね。映画や文化的なもの、アメリカでミームになってるものだったり、日本にいるとなかなか知れないモノコトと出合えるのは面白いです」

ファッションや音楽に精通している印象のゴローさんですが、その好奇心はまだまだ尽きることはありません。「チェストとバックにプリントが入っているものは飽きてきて」と、最近はフロントにドンとプリントが入ったそれが気分。ゴローさんのTシャツ選びから、探究心を忘れないヒップな大人像が垣間見えた気がします。

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