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蔡俊行フイナム発行人ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

代官山通信

蔡俊行
フイナム発行人

ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

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本屋にて

2006.11.15

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 人間の質が落ちているというか何というか、最近どうもやはりおかしい。報道される頭を傾げてしまうような事件もそうだが、普段の生活の中でもそんなことをふと考えてしまう。
昨日本を買いに行った。目的はスコット・フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」の村上春樹訳を手に入れるためだ。あらかじめこの本は新書サイズの廉価版とハードカバーで箱入りの2種類が発売されていると聞いて、本屋で確かめてどちらかを買うつもりである。
移動の最中、渋谷の文教堂に寄った。明治通りを駅から原宿方面へ歩くとビックカメラのある交差点がある。そのすぐ隣がこの書店だ。
ちょうどバス停が並んでいる先に停車できるスペースがある。ハザードを点け、すばやく書店に駆け込み、2種類を吟味して購入しても10分とかからない。この文教堂自体、1階に面しているし、小さな書店なのでこんな風に狙いの定まった本を買う時はよく利用している。
入り口を入るとすぐ左手に新刊本の小さなコーナーがある。そこに新書サイズの目的の本があった。ランキングでは9位とある。11月10日発売なのにやはりすごい人気だ。早速手に取りぱらぱらめくり今度はハードカバーを探す。どうやらこのコーナーにはないようだ。
店内は午後一ということもあり閑散としている。店内に足を5歩ほど進めるとレジが右手にある。そこでカウンター向こうの手持ちぶさたな店員と目が合った。
時間もないのでカジュアルに「あの、この本のハードカバーってどこにあります?」と聞いてみた。
するとこの店員、顔中「?」だらけの顔になる。仕方ないのでもう一度同じ事を伝える。
そしてこの本を手に取った後、隣の店員に相談する。そしてそれでもわからないというので今度はPCの端末を調べ始めた。
まあここまで所要時間はわずか数分。こちらから問いかけたのでしばらく待っていた。しかしそれから5分以上経ってもその店員はまだPCと格闘中である。
しびれを切らし、店内を一瞥し、単行本の置いてあるコーナーに歩いていくとすぐ目の前に大量に平積みされたこの本が目に飛び込んできた。すぐそこにこの本は置いてあったのだ。
そんなもん、自分で探せば良かったと恥じ、会計をすませて店を出た後思ったのだが、件の店員である。
書店で働くからには、何かしら本が好きとかそういう動機があるのではないか。それなのに新刊でしかも9位で、フィッツジェラルドで村上春樹だよ、それを知らないというのは一体どういうことなのだろう。しかも二人がかり。売っている商品をしらない店員さんというのは、それこそいまや当たり前の風景と化した。しかし本屋までがそうだとは。少なくとも家電屋さんの店員はカメラ売り場がどこか知っている。服屋さんもどこにジーンズの棚があるかわかっている。コンビニのアルバイトだってヨーグルトがどこにあるか知っている。しかし本屋の店員はハードカバーの新刊がどこにあるのかPCに聞くしかないのだ。

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