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蔡俊行フイナム発行人ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

代官山通信

蔡俊行
フイナム発行人

ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

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ぞっとする話

2008.12.04

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 フリーランスで仕事をしていた友人とすこし神妙な話などをしている。
業種は特定するとちとまずいのでフリーランスということで。
彼とぼくは同い年。80年台初頭からこの世界ではかなりの有名人でその後、バブルの忙しい時期にはブイブイ言わせていた。景気のいい仕事ばかりで月の半分は海外ロケ。クルマも車種は特定しないが某ヴィンテージカーのステキなモデルを乗り回していた。
スターであった。それがこのままずっと続くんだなとぼくらは思っていた。
しかし時は移ろい行く。
いまではあまり調子が良くないらしい。現場スタッフの若返りとともに仕事量は激減。まるであの人はいま状態のようだ。
久しぶりに会って聞いた話にちょっとショックを憶えた。
しかもリーマンショックで外貨預金がふっとんだというおまけ付き。
気の毒であるが、こちらとしてはいかんともしようがない。唯一できることは話を親身に聞いてあげることだけだ。
こんな話はそこかしこに転がっている。フリーランスというのはそういうリスクのあることである。よほどの人物でない限り、月夜の晩は短いのである。計画性を持たず刹那的に享楽的に生きている蟻とキリギリスのキリギリスのような人生。やはり後からズシンと響いてくるのだ。
バブルの頃、超高慢だったファッションカメラマンがいた。好意は持っていなかったが、先輩と仲が良かったので何度か仕事もしたし、ホームパーティにも呼ばれたりした。それでも好きになれない人であった。
数年前、道ばたでばったり。どうにも顔色が冴えない。最近では自分のスタジオでブツ撮り中心の仕事をしているという。その落差に唖然としたものだ。
大体そういう人たちに限って年金も預金も保険も疎かだ。
それでもまだいい。それでもがんばれる年齢だ。しかしあと10年20年後は一体?
ぞっとする。

Comment: 1

フリーランス40歳です。
心底、身にしみました…。
広告の仕事をしていますが、確かに制作の現場は常に若返っていきます。
大先生に高いフィーを払って「上がってきたものには文句も言えない」なんていう状況より、若い感性とフットワークを選んでしまうから。
明日はわが身。

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