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蔡俊行フイナム発行人ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

代官山通信

蔡俊行
フイナム発行人

ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

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ダース・ベイダー光臨!?

2009.10.08

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 昨日リニューアルしますなんて書きましたが、すみません、トラブルで一日延びました。今夜には間違いなくできていると思うのでしばらくお待ちください。

 重ねてすみません。

 さて。昨日も書いたベルサーチの件ですが、10/5のJ-CASTニュースが詳しいのでそれを引用します。

(以下引用)

ヴェルサーチ国内全4店閉店 事実上の日本撤退

10月5日19時45分配信 J-CASTニュース

 海外の高級ブランドが国内店舗を次々と閉鎖している。シャネルが九州の店舗を閉店し、ルイ・ヴィトンは東京・銀座への大型店出店を白紙に戻した。イタリアの高級ブランド「ヴェルサーチ」は国内全4店舗を閉店し、日本法人の広報部門の閉鎖も決まった。事実上の日本撤退と言えそうだ。

■日本の08年売上高は前年の半分

 「ヴェルサーチ」の日本法人、ヴェルサーチ・ジャパンは2009年5月に東京・紀尾井町の本店を閉店し、7月までに百貨店内の店舗2店とアウトレット1 店もなくした。これで国内直営店全4店舗が姿を消した。また10月31日をもって、ヴェルサーチ・ジャパンの広報部門を閉鎖することも決まっている。

 ヴェルサーチは1978年にイタリアで設立され、アルマーニやフェレと並んで一世を風靡した。派手な色合いが多かったことから、日本ではバブルの象徴とも言われた。ところが1997年にデザイナーのジャンニ・ヴェルサーチが亡くなってから売れ行きが低迷し、巨額赤字に転落。日本でも正規価格での販売店は 3店舗にまで減り、特にリーマンショック以降は派手系の服がめっきり売れなくなった。ヴェルサーチ・ジャパンの2008年12月決算の売上高は16億円で、前年の30億円に比べて半減している(帝国データバンク調べ)。

 ヴェルサーチ・ジャパンの広報担当者は店舗の閉鎖について、

  「本国の方針ですので、現段階で公式にコメントできることはありません」

との回答にとどめた。

■ルイ・ヴィトングループの売上高も20%減

 ただ、事情をよく知る関係者は、こんな見方をする。

  「2010年秋以降にヴェルサーチは日本で新店舗を出す計画もあり、一旦クローズという方が正しいかもしれません」

 本店を移転する計画だったが、そこへリーマンショックの打撃を受けて移転が難しくなった。バブル期の名残がある本店で営業を続けるよりも、一度クローズするほうがよいと方針を転換したのでは、と前出の関係者はいっている。

 しかしヴェルサーチは08年に中国に10店舗も出店している。売れない日本に見切りをつけたとも言えそうだ。

 日本での高級ブランドの売れ行きは依然厳しく、ルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオールを傘下に持つ高級ブランド最大手の仏モエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)は、09年1〜6月期の日本での売上高(円ベース)が前年同期比20%減少した。アメリカの13%減、ヨーロッパの5%減よりも減少幅が大きい。一方、日本を除くアジアでは4%増加した。

 仏の宝飾ブランド「カルティエ」を傘下に持つスイスのリシュモンは、09年4〜8月期の日本の売上高(ユーロ)が7%減だった。

 矢野経済研究所によると、08年の海外高級ブランドの日本市場は1兆643億2600万円(小売金額ベース)で、前年比89.8%の大幅なマイナスを記録した。同社は「09年の高級ブランド市場規模はさらに縮小し、1兆円の大台を割り込むだろう」と予測している。

 かつて「ドル箱」と呼ばれていた日本市場だが、中国やインドなど新興国に鞍替えするブランドが今後も出てきそうだ。

(以上、引用終わり)

 世界的不況の影響で高級ブランドが軒並み失速というのはすでに知ってはいましたが、最後から二つ目の段落の矢野経済研究所の発表はちょっと背筋が寒くなるような数字ですね。前年比およそ90%ダウンですよ。これちょっと本当かな? と疑うような数字ですね。

 逆から言うと去年の日本国内での高級ブランドの市場は10兆円あったということですか? これも信じられない。けど、いずれにせよ売り上げは確実に落ちているのは確実。

 確かにいま街を歩いてみても以前のように海外高級ブランドのバッグをこれ見よがしに抱えて歩いている女性は減っているように思います。これはなんなんでしょう。不況のせいなんですかね。

 ぼくはそれだけではないと思うんです。なんかもう日本人がブランドに成熟したというか分かったというかステージがひとつ上がったような気がするんですね。つまり高級ブランドに頼らなくても自分らしさやそれなりのステータスを演出できる自身が備わったとでも言えばいいのでしょうか。

 こういうのは徐々に顕著になってきます。いま増えてきている"消費しない消費者"と言われている一部の若者たちなんてそもそも高級ブランドに価値を見いだすきっかけもないまま、でも楽しく豊かに地に足つけて生活していると思うんです。売春してまで手に入れたルイ・ヴィトンより、ディーン&デルーカのエコバッグの方に価値があるんじゃあないでしょうかね。

 ベルサーチの日本市場からの撤退もたんなる不況のせいではないでしょう。いまは2009年です。ああいう服にあれだけの金額を出す人たちがいったい日本国中で何人いるのでしょうか。むべなるかなです。

 ちなみに日本人が高級ブランドから離れるきっかけになったもうひとつが、韓国人や中国人という東アジアの人たちのブランドへの熱狂を見て、我がふり直そうと思った日本人が増えたというのもあるかも知れません。

 いまや世界中のブランドショップでわいわい買いまくっているのは中国人です。それを客観すればもう「ブランドはいいや」と思っても仕方ないでしょう。高級ブランドがいま中国にどんどん出店していることからも明らかです。

 というわけで日本人のブランドへの価値はこれからもどんどん変わっていくでしょう。ユニクロとジル・サンダーの+Jもコペルニクス的転回とは言えないまでも結構エポックメイキングな事件です。

 これでますます高級ブランドやそれらを巡るブランドビジネスがやりづらくなります。その末端で末席を汚していた我々のような仕事はいったいどうなるのでしょう。暗黒の時代が到来しそうです。

 なんだかスターウォーズ2のエンディングのようになってしまいました。

Comments: 7

いやいや、歓迎しましょうよ。

たぶん、08年の海外高級ブランドの日本市場の売上高が07年から10%減ったという意味で『前年比90%』だと思います。

kaeruさん。

ご指摘ありがとうございます。その通りでした。完全な僕のミスリード。ちゃんと読めば前年比およそ90%ということが分かります。バカな自分を反省するために訂正せずにそのままおいておきます。笑ってやってください。

以後、気をつけます。

これだけ不景気だ何だと騒がれても10%しか落ちてないという解釈もあると思います。
やっぱり、買ってる人は買ってるんだなぁ〜って。。
また、そのテのブランドさんは円高還元とか言って値下げしてましたよね?
数字だけで言えば値下げした分だけ売上が下がったとこも言えますね。
本当を言えば値下げした分、客が増えて売上増にならないとダメなんですが。

はじめまして。いつも楽しく拝見しています。

・若者が高級ブランドをみにつけず、地に足をつけて生きている
・韓国、中国、東南アジアの人々のブランド熱狂ぶりに対する冷ややかな目線

新しい斬新な視点だなぁと思いました。

とはいいつつも、マーケティング費に大量の金をはたいて(銀座に出店など)して、ブランディングをしっかりしているハイブランドが減るのは寂しいです。
高い服にはそれなりに洋服にかけたメッセージがあると思います。

なので、「不況でお金がなくてマーケティングやブランディングにはお金はかけれないけど、伝えたいことがあるんだよ!」っていうブランドのメッセージを代弁するメディア(特にWEB)がもっと増えればいいなと思います。

新しいフイナム楽しみです!

コメントありがとうございます。確かにいろんなブランドが元気に活発になってこそ、消費する我々も選択肢が増え楽しいですよね。やはり一部のブランドが市場を寡占するような状態はあまり良くないですからね。
フイナム、もう少しがんばります。応援ありがとうございます。

久しぶりに「コペルニクス的転回」という言葉を聞きました。
蔡さんはサスガに色んな言葉を使いますね。
「むべなるかな」も素敵です。

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