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蔡俊行フイナム発行人ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

代官山通信

蔡俊行
フイナム発行人

ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

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大災害

2009.10.13

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 先週金曜日は水曜にリニューアル予定だったこのブログを含むすべての弊社サイトの工事が、予定通り進まず、結果として更新できませんでした。それより更新するといってできなかった不手際を謝罪します。すみませんでした。

 さて、その金曜に書こうと思っていた話題。それはヨウジ・ヤマモトです。木曜にジャンフランコ・フェレの話題を出したからには足下の日本ブランドについても書かなくてはならないですからね。

 もうすでにご承知の通り同ブランドは、10月9日東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。負債総額は60億円というから結構な金額です。すでにいくつかの投資会社が投資することが決まり、早期再生を目指すようですが、前途洋々というわけにはいかないでしょう。

 同時期にユニクロが2期連続で増収増益、しかも8年ぶりの最高益というコントラストを見せられると余計そう思ってしまいますね。

 高級家具ブランドのカッシーナも名古屋店を閉鎖するというし、高級関係はもうさっぱりです。

 ライブドアやなんとかファンドがニュースを賑わせ、伊勢丹メンズ館とか阪急メンズ館とかちょい悪おやじとか言っていたあの騒動は一体どこへ行ったんでしょう。ついこないだの話ですよね。

 で、ヨウジ・ヤマモトです。いまさらですが80年代はコムデギャルソンと並び、日本が世界に誇れる文化としてファッション業界に君臨していました。諸行無常とはいえ、その栄光を知っている者としては一抹の寂しさを感じられずにはいられません。

 熱狂的なファンもいつの間にかお父さん、お母さんになり、家計が厳しくてもはや昔のようなお洒落はできないのでしょう。またそういう服がいいという大きなトレンドでもないです。

 そんな状況の中、ブランドを再生する手段というのは何なんでしょう? デザイナーの交代? それとも新ブランド構築? それとも海外のメゾンに売却?

 いろいろ考えられるでしょうが、もう服のブームは終わっています。並大抵の力では再生するのは難しいでしょうね。ブランドは再生より新たに作る方が簡単です。スクラップ→ビルドのスクラップがいりませんから。ただビルド、でいいんですから。

 ファッションの世界は本当に流れが速いので、もしかするとまたこうしたブランドの時代がやってきてユニクロが失速するかも知れません。先は分かりません。

 ただファッション、クリエイティブの良心のようなものが、安物大量生産物という大嵐になぎ倒される風景を見るのは辛いです。かといってぼくらには何もできません。テレビの中の大災害を前に指をくわえて見守るしかないように。

Comments: 7

ヤマモトヨウジさんは流石にショックです。
ギャルソンとの差違は何だったのかなあと考えつつも
ギャルソン各ラインも安心できないかも?と思ったり…。

多分にこれからもこんなニュースが出てくるのだと思うと
寂しいというか少し不毛な気持ちになります。

おっさんの発想であれですけど、今の若い子達は多少、値の張る
服に袖を通す事もなく青春期を終えるのかあと。


ぜんぜん関係ないんですが、5年位前のチョイ悪ブームで
思い出しましたが、昔「NIKITA」って蔡さんが凄い
楽しんでた雑誌がありましたねえ。
あの辺の女性達もどうしてるんでしょう…?

安物大量生産物という大嵐。
何もできなくないと思います。大嵐には勝てませんが、
避難する準備をしとくべきです。
ファストファッションに火をつけるも、消すもファッションを世に伝える
ことのできる仕事に携わっている人次第です。
もう、早くもそのブームに飽きは来ていると思います。
洋服好きな若者もおばさまも。そうでない、普通の人も。
買えるなら、長く使える高い服が良いに決まっていますよね。

流行に流されやすい日本人には特にひとつの情報が持つ影響力
が大きく、それがメディアにもかかっています。

エコバッグブームと同じです。あれはエコなのか?と後から
気づく人達。沢山。
ファッションシーンはいつまでも憧れを描き続けて欲しいものです。
街の目線と同じものを追いかけていてはハイブランドが復活できせんね‥食べ物も、洋服もそれを買う為のお金もファスト、ファースト?
で手に入れて良いものなどないのです。
スローマネーという言葉があるくらいです。ファストマネーはすぐ
なくなるとのこととです。

コメントありがとうございます。
>匿名さま
その買えるなら、長く使える(高い)服というものを我々は開発中ですよ。“高い”をかっこでくくったところを推察してください。来年1月頃リリースします。
>自治子さま
コムデ〜は後継者探しというのをきちんとやっていたところがヨウジとの差だったのではないでしょうか? 

ちなみにNIKITAはどうなったんでしょうか? まだありましたっけ? 廃刊? 失礼、休刊?

>コムデ〜は後継者探しというのをきちんとやっていたところがヨウジとの差だったのではないでしょうか? 

↑これはやはり大きいですねえ。
ギャルソンの若いデザイナー達も活躍していきました、し、
様々なコラボレーションにも積極的だった。

ちなみにNIKITAは昨年の1月発売号で休刊になったようです。
当時の蔡さんの記事に触発されて美容室などで
読んでましたが、あれは面白いというか色んな意味で潔い雑誌でした(笑)

ユ◯クロだって今の調子だと、
そのうち転けます。

ただ、
それなりの企業努力していると思いますけどね。

今の若い子達は長く着られる服なんて望んでいないかもしれませんね。
物事深く考えないんですよ。
僕らみたいに(笑)。

NIKITAは一年以上前に休刊になりました。
LEONがヒットしたのは理屈よりモテという女性誌の手法を男性誌に取り入れたからであり、その手法を女性誌に逆輸入しても類似他誌があり鮮度が低く失敗したのではと、個人的に思ってます。

蔡さん>
その買えるなら、長く使える(高い)服というものを我々は開発中ですよ。“>
とても楽しみにしてます。

これからのファッションに必要なのは、長く使える&手持ちの洋服との組み合わせを提案するということではないでしょうか?
ブランドは今までのような総取っ替えのワードローブではなく、積み上げていくワードローブを提案せざるを得ないと思います(儲けは少なくなりますが…)。

その意味では最近のナチュラル系の雑誌(ナチュリラ・リンネル等)は新鮮でした。
女の人が、10年近く着ている服を喜々として紹介し、その服を更に使い切ろうとコーディネイトを提案しているというのは面白い試みであり、男性誌でも提案して貰いたいです。


みなさん、コメントありがとうございます。
どうもやはりいまの状況に疑問をもたれている方が多いようですね。

選択肢として安い服もいいし、高級なものもあっていいとみなさん思っている事でしょう。それをテレビという媒体が異常に煽るもんだから、あまり興味のない層までH&Mやフォーエバー21に群がる現象が起きてしまっているということなのでしょうね。そうした盛り上がりはやはりブームであって、本物の支持ではないと思います。

それらを好きで愛用する層は一定層いるので、そのマーケットでの売上に早晩落ち着くと思います。その早晩は後2年後ぐらいだと思うのですが。

ぼくもテレビに出ている経済評論家くらい予想が当たらないので知られているのであまりアテにしないでくださいね。

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