アイデア！ - 代官山通信（蔡 俊行）

　今日はなんだか道が混んでた。こう書くと正確じゃないね。ぼくが利用した道が混んでた、と言ったほうがいい。神の目を持っているわけでもないのに一を見て十知ってるように書いてはいけないね。

　混んでる最中、同乗者とまあいろいろ話をする。むしろ、クルマに乗っている時のほうが会話が弾むということさえある。同じ方向を見ているからか、向い合って話すよりもより議論と言うか会話は弾むのである。これ打合せにも使えないかなという話である。

　しかし社内では横にいる人に声は届くが、前席での会話は後部座席には届きづらい。逆はまあ大丈夫。となるとオートバックスかなんかが後部座席用会話拡大器なんて機械を開発しないかなんて考えるのだが、そんなものは誰も買わないので企画会議ですぐにボツにされる。企画会議用の機械の企画会議でその企画がボツになる、なんて早口言葉にもならない。

　それはともかく社内では会話が弾むのである。今日もその中でちょっとした光るアイデアが浮かんだ。まさに「ユリイカ！」とアルキメデスが叫ぶ瞬間である。漫画なら頭の上に電球が灯る。

　まあ、こんな思いつきを形にしてこれまでうまくいった試しはないので慎重に事を進めるが、大概アイデアがひらめくのは移動中ということが多いということにも気づいた。人によってはトイレとか、お風呂とかいう人もいるが、ぼくは圧倒的にクルマの中か、ジムのトレッドミルの上だ。しかしクルマでアイデアを考えるというのも危険なのでこれからはもっぱらジムでねずみのように走りながらにすることにする。移動はしないので堂々めぐりのアイデアになる恐れもあるが。