化学繊維にも、こんなに奥深い世界が広がっている。
サンプルチェックを終え、富山を後にした金子さんが向かった先は福井県鯖江市。クルマを走らせ辿り着いたのは、原糸メーカーの「KBセーレン」でした。
ここでつくられるポリエステル・ナイロン複合糸「ベリーマ®X」は、世界初の分割型構造を持つ超極細マイクロファイバーで、クリーニングクロスなど資材用途で広く使用されています。「WIND ANORAK」では、それをアパレルに転用して使用しているのがユニークなポイントです。
(「ベリーマ®」はKBセーレン(株)の登録商標です。)
「WIND ANORAK」¥30,800
「化学繊維を使用しつつ、見た目の表情はクラシカルということで採用しました。着れば着るほどに味が出て、“10年着られる服”というコンセプトにもマッチする。この生地が発する落ち着きのある光沢も魅力的ですよね」。
ポリエステルとナイロン樹脂を熱で溶かし、圧力をかけながら金型を通して、段階的に細い糸へと紡がれていく。
摩擦や静電気、毛羽立ちや断糸を防ぐため、繊維の表面に油膜を張る。
実際に「ベリーマ®X」がつくられる現場も見学。広い敷地の中には大きな機械がずらりと並び、その中で極細の化学繊維糸が紡がれています。ここではファッションはもちろん、医療やIT、環境整備用の繊維に至るまで、多種多様な繊維が開発されているとのこと。
「いままであまり深く考えたことがなかったけど、ちょっとハッとさせられましたね。たしかに化学繊維って、機能を持って生まれてきた繊維だから。これまで天然繊維ばかり着目していたけど、こんなに奥深い世界が広がっているんだなって」。
ここから先は場所を移して機業場へ。まずは紡がれた糸をウォータージェット織機に。高圧の水流で横糸を通し、一枚の生地へと織り上げていく。
化学繊維の工場が北陸に多いのは、豊富な軟水があるから。滑らかな水質は合成繊維と相性がよく、ウォータージェット織機で織る際も品質が安定する。
紡がれた糸は大きなボビンにまかれ、織機へと運ばれます。極細の繊維を織るには、丁寧な下準備も大事なプロセス。機械の小まめなメンテナンスや、最適な力加減の設定、それに毛羽立った糸をあらかじめ除去しておく必要があるようです。
「化学繊維って大量生産されるもので、オートメーション化されているイメージがあるけど、案外人の手がかかっている。だからこそ、ぼくたちも多くのお客さんに手に取ってよろこんでもらえるものをつくらなきゃいけない。そういう責任を感じます」。