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西本克利連載。ロスアプソン?・山辺圭司と語る音楽、アート、パーティについて。
MONTHLY NISHIMOTO IS THE MOUTH vol.06

西本克利連載。ロスアプソン?・山辺圭司と語る音楽、アート、パーティについて。

〈NISHIMOTO IS THE MOUTH〉を主宰する西本克利による連載企画。今回は西本さん自身が音楽面ではもちろん、その姿勢についても大きな影響を受けたという高円寺のレコードショップ「Los Apson?(ロスアプソン?)」の店主・山辺圭司さんがゲスト。もうすぐで30周年という節目を迎えるショップを切り盛りする山辺さんのお話には、シンプルだけど重みを感じる言葉がたくさんありました。お店の話、音楽の話、パーティの話、アートの話、山辺さん自身の個人的な話などなど、さまざまな話題に西本さんが切り込みます。

単にそのままの感じより、ちょっと設定とかを加えて遊んだほうがおもしろい。

西本:山辺さんが普段いくレコード屋さんとかあるんですか?

山辺:近所の「黒猫(旧:円盤)」とか、あとは通販で買うこともあるし。新潟の「Sheyeye Records」とかね。

西本:栃木の「ART INTO LIFE」はどうですか? ノイズ好きの人がやっているんですかね?

山辺:もともとはヒップホップ寄りのオーナーさんだった気がするよ。でも、前衛的な音楽を提案してていいよね。

西本:だけど、やっぱり基礎をつくってもらったのはロスアプですね。

山辺:なんでもあるからねぇ~(笑)。

西本:パンクやハードコアもあって、民族音楽とか、あとはテクノやハウスもあって。レコードの仕切りに山辺さんの絵が描いてあったりするじゃないですか。それもなんだか好きで。独特の空気感がありますよね。

山辺:小さな空間にいろいろ詰め込んだ結果、こうなりましたっていう。だけど、小さな頃の影響ってやっぱり大きくて。自分が見放さない限りはずっと残っているじゃん、自分の中に。

西本:いまも常に音楽聴いてますか?

山辺:そうだね。いろんな音楽がするする入ってくる感じがする。きらいなものがどんどんなくなる感じというか。

西本:むしろきらいな音楽とかあったんですか?

山辺:いまは聴くんだけど、歌謡曲とかむかしは全然聴かなかったよ。

ー いろんなことを経て、ちがった解釈で聴けるようになるんですかね。

山辺:そうかもしれませんね。どこか海外の人の視点で聴いているような感覚はあるかもしれないですね。エキゾ的な視点というか。

西本:ブラックメタルとかも角度変えて聴くと、急に演歌っぽく聴こえたりしますよね。

山辺:でしょ~?

西本:解釈の仕方ですごい変わりますよね。

山辺:そうそう、全然変わるんだよね。その辺を探求している感じはあるかもしれない。むかし聴かなかった音楽を掘り起こして再検証するみたいなさ。

西本:おもしろいですね。山辺さんの趣味は音楽やアートはもちろんですけど、他にもあるんですか? たとえば…、そうだな…競馬とか?

山辺:競馬!? それはやらないよ~(笑)。むかしは日本酒を飲んで、ラベルをノートに貼り付けるとかしてたけどね。感想とか書いちゃったりして(笑)。ハマるとそういうことをしちゃうんだよね。あとは手ぬぐいにハマって、西新宿のお店が手ぬぐいだらけになったこととかあるよ。なんだか江戸文化のおもしろさにすごく興味がでてしまって。

西本:ハマると一点集中しちゃうんですね。〈C.E〉のスケシンさんもそんな感じなんですよ。ハマり方がすごい。行ったことないところでも、自分で想像して行ったつもりになって、そこから得たインスピレーションで服をデザインしたりしているっていう話を聞いたことがあって。山辺さんに近いですよね。

山辺:妄想は大好きだからねぇ。いまの時代って簡単に身動きできないでしょう? だから妄想することってすごい大事だなと思ってて。HI-TECK SQUAT RAVER!も妄想から生まれているからさ。シチュエーションとかを設定して。

ー HI-TECK SQUAT RAVER!は「ロスアプソン?」でリリースしているMIXシリーズのことですね。

西本:ハワイでパーティをした後のアフターパーティでのプレイとか、おもしろいですよね。

山辺:そうゆう設定を知った上で聴くと、なんかイメージが湧きやすいじゃん。妄想提案みたいな感じだよね、あれは(笑)。

西本:そうですね。それ含めて音楽もかっこいいなって思います。山辺さんが書いているPOPとかも好きで、それにビビビッて反応しちゃうんですよ。

山辺:なんとなく、いまこういうの欲しがっている人がいるんじゃないかなっていうのを考えて、仕入れたり、自分でつくったりはしているね。全員じゃないけど、マイノリティで熱くなれるなにかっていうか。それがあるから続けられるんだよね。ただ売るだけじゃつまらないじゃん。スピリットを秘めるというかさ、単にそのままの感じより、ちょっと設定とかを加えて遊んだほうがおもしろいんじゃないかなって思うんだよね。

西本:山辺さんを見ていると、常に遊んでいる感じがするんですよ。

山辺:やっぱり遊んでいたいからさ。

西本:どこか子供の心があるというか、そういうのってすごく憧れるんですよ。アートもこれから続けていくんですか?

山辺:そうだね、続けようと思ってるよ。むかしつくった作品を、いまの気分に合わせて再編集するのもいいかなと思ったり。

西本:長生きはしたいですか?

山辺:あんまり考えてないなぁ。西本くんはしたい?

西本:50歳まで生きれればいいかなって思ってます。いま43なんで、あともうちょっとですけど(笑)。やっぱりいまが楽しいんで。その中に音楽もあって。

山辺:コロナで身動きが取りづらくなったけど、音楽があってよかったって思うよね。

西本:音楽によって気分が落ち着いたり、テンションが上がったりするのってすごいですよね。

山辺:心に働きかけるなにかがあるんだよね。メローな気分にさせられたりするのって、やっぱり目よりも耳のほうが早い感じするもんね。

西本:ハーシュノイズとかもうるさい音って思われがちですけど、寝れますからね。

山辺:そうそう、ある意味包まれる感じはあるよね。さっき話してた通り、やっぱり聴き方が大事だよね。いかようにもおもしろくなるからさ。

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NISHIMOTO IS THE MOUTH

nishimotoisthemouth.com

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