07 Walter Van Beirendonck ウォルター ヴァン ベイレンドンク



写真1枚目は、ベールをまとう黒い物体が登場したショーの冒頭。2枚目は後半の様子。最後のカットは、フィナーレに姿を見せたウォルター・ヴァン・ベイレンドンク。
PEACE & NO WAR
歴史ある「マドレーヌ劇場」を会場に、奇想天外なショーを見せた〈ウォルター ヴァン ベイレンドンク〉。舞台の幕が上がるとそこにいたのはベールをまとった黒い物体。ベールがワイヤーで吊り上げられると姿を見せたモデルがランウェーを歩き、全員登場し終わったところで一度幕が下りました。間髪入れずはじまった後半は、モデルたちが客席の通路から舞台に上がり、ランウェーを歩き終わると、バックステージに下がらず舞台上を行ったり来たり。この謎な演出の答えは、発表後に配られたプレスリリースにありました。そこに書かれていたのは「WIRWAR」。これはいまウクライナで起こっていることを指した言葉であり、ショーの演劇的な演出も戦地をイメージしたものでした。フィナーレに現れたデザイナーのウォルターは表に「PEACE」、背中に「NO WAR」とプリントされたメッセージTシャツを着用。パリコレという世界的な場所で、ファッションを媒介に自分のメッセージを明確に打ち出すところに、このデザイナーの凄みがあるように感じます。代えのきかない存在だからこそ、熱狂的なファンが彼につくのかもしれません。