果たして、シュプリームは今後ヴィンテージになりうるのか!?

ー やはり同じテーマでも、各店の色が出て興味深いですね。最後に、それぞれに“ニュー・ヴィンテージ”という観点から見た、〈シュプリーム〉の面白さをお答えいただきます。
坂本: どうしても限定やコラボという言葉に引っ張られてしまいがちですが、インラインのアイテムにはまた違った楽しみ方があるということを、今回「ブルールーム」の2人から教わりましたね。先ほども、古着をサンプリングしているなんて話も出ましたが、その元ネタを調べて探すことで、自分にとっての新たな扉が開かれるなんてことも、きっとあるはず。あなたとニュー・ヴィンテージを繋げる存在、それが〈シュプリーム〉なのではないでしょうか。
葛西・羽月: たしかに、大概のアイテムにサンプリングソースがありますからね。そこを古着で掘っていくことによって、ただのストリートスタイルのみならず、もっと大きな視点でファッションが楽しめるようになるんじゃないかなって思います。あえてアナウンスはしないだけで、実は情報量が多く、掘れば掘るほど、知れば知るほど楽しめるのが〈シュプリーム〉。音楽や映画、スポーツにアート…etc.、これまでの自分が知らなかった世界に連れて行ってくれるので、若い世代には〈シュプリーム〉を入り口として、古着や色んなカルチャー楽しんでもらえたら嬉しいです。
青木: リリース当時、売れていたとかどうとか、実はあんまり関係ないんですよね、〈シュプリーム〉にとっては。シーズンごとの型数も膨大なので、掘ってみると見たことがないようなアイテムがまだまだ出てきますし。しかも、どうしても特定のアイテムに人気が集まる分、そういった普通のアイテムって安いんですよね。なのに他人と被らない! そういうのを買う楽しみを知ってもらうには、打ってつけなんじゃないかなと。
伊藤: 今回って、これまであった〈シュプリーム〉特集史上、もっとも地味なクロストークじゃないですか?(笑)。普通はこういう企画の時って、自慢の1着としてコラボものやプレミアがついた激レアものを持ってくるのに、誰もそんなの持ってこない(笑)。でも、それでも成立するのが〈シュプリーム〉の地力なんでしょうね。いわゆるヴィンテージ古着と一緒で、アイテム自体はもちろん、その周辺のカルチャーや時代背景など、複合的な知識がないとチョイスできないし、もし原宿に今回のような品揃えの古着屋があっても、値段やブランドロゴで服を選ぶ人たちは買いに来ない(笑)。インラインの評価がされづらいブランドではありますが、結局このブランドの真髄はそこにあるのかなって、改めて感じました。