第四講
阿部孝史

1950’s GLOVERALL DUFFLE COAT
阿部:まずは〈グローバーオール〉のダッフルコートを。
今野:このタグ、初めて見ました。いつ頃のモデルなんですか?

阿部:プリントのタグは最初期って言われてるのでおそらく50年代だね。
藤原:最初期で50年代なんですね。〈グローバーオール〉ってもっと古くからある会社だと思ってました。
阿部:ブランドの設立が確か1951年だったような。
今野:タグはプリントなんですね。
阿部:そうそう。アメリカのブランドのタグだと、刺繍からプリントに変わっていっていうイメージだけど、〈グローバーオール〉はプリントの後、刺繍に変更されるんだよね。
今野:この時代のメルトンってやばいですよね。
阿部:うん、めちゃくちゃ重い(笑)。でも、このいなたい感じが好きなんだよね。

藤原:これはどこで買ったんですか?
阿部:これはeBayで。かなり安かったよ。むしろ日本への送料の方が高かったような(笑)。ここまで古いのはあまりないと思うけど、60年代以降の古い〈グローバーオール〉って日本でも売られたりしてるし、お店によって価格設定がバラバラなので、買うならいまかなと。
藤原:阿部さん、40年代のロイヤルネイビーのピーコートも持ってましたよね?
阿部:そうそう。あっちの影響で、ネイビーのダッフルも欲しくなり、これを買ったの。
今野:ちょっと着てもらってもいいですか。

阿部:元々平面的なパターンなのと、ちょっと大きめなサイズなので、いい意味でいまっぽく見えるかも。
栗原:90年代に流行ったダッフルとは雰囲気が完全に別物ですよね。
阿部:着やすさで言えば間違いなく新しい方がいいと思うんだけど、ぼくは重くてもこっちの方が好きなんだよね。これは完全に好みだよね。

栗原:ぼくもウールのヘビーアウターは何枚か持ってるんですが、近代ミリタリーウエアの快適さに慣れちゃったので、もう10年以上着てません(笑)。そういえば古いダッフルってトグル部分のレースがレザーじゃないものが多いですよね。60年代以降になるとレザーのものがほとんどなんですけど、それだとクリーニングに出すと大体ちぎれて返ってくるんですよ(笑)。
今野:このトグルの雰囲気もいいですね。ぼくも古いダッフルを探してみようかな。