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古着サミット11 業界屈指の偏狂家たちによる古着放談。
Houyhnhnm Vintage Summit.

古着サミット11 業界屈指の偏狂家たちによる古着放談。

約1年の時を経てヴィンテージ偏狂家たちの古着放談「古着サミット」が、お久しぶりに戻って参りました。今野智弘、栗原道彦、藤原裕、阿部孝史と、シーンでも随一のパーソナルコレクションと圧倒的な知識を誇るレギュラーメンバー4名を迎え、それぞれが最近気になるアイテムやカテゴリー、あるいはメンバーたちと共有したいトピックを持ち込み、いつも通りの脱線も交えながら徹底的に深堀りしていただきます。

  • Photo_Fumihiko Ikemoto
  • Text_Takehiro Hakusui
  • Edit_Yosuke Ishii

第二講
栗原道彦

「もう消滅したブランドながら、ディテールワークがとにかく独創的でおもしろい」

‘70s SYNERGY WORKS

栗原:ぼくはまず、北カルフォルニアのオークランドで1971年に設立された〈シナジーワークス〉のパイルジャケットを見てもらおうかと。

藤原:これは珍しいですね。初めて見たかもしれない。

栗原:そうそう。ゴアテックスのマウンテンパーカなら何度か見かけたことがあると思うんだけど、このパイルはぼくも実物は初めてで。以前、まだブランド自体をよく知らない頃にネットで検索したら『モノシリ沼』(1970年代から’80年代にかけてのハイテクアウトドアアパレル、ギア、ブランドなどにフォーカスした識者の個人ブログ)ってブログがヒットして。ぼくらみたいな仕事をしている人にはわりと知られたブログだと思うんだけど。そのブログをきっかけに深掘りして、さらに興味を持っていったと。

阿部:なるほどね。ブランドの存在自体は知ってはいたけど、確かもう消滅しているよね?

栗原:はい。’80年代には消滅していますね。

阿部:確かにマウンテンパーカとかも他のブランドと違って一風変わったディテールワークって印象が強いかも。

今野:この襟のデザインも他では見たことのない仕様ですよね。顎まで覆える長さに設定されていたり。

栗原:そうなんですよ。マウンテンパーカと同様にアームの下に大口径のベンチレーションを装備していたり、当時からトータルレイヤリングもしっかり考えた製品だったみたいで、同素材のパイルパンツも存在するみたいですね。

阿部:へえー。この時代のいまとなっては評価の高い消滅ブランド、たとえば〈アーリーウィンタース〉とか〈アルパインデザイン〉なんかも総じてディテールワークが独創的だよね。

栗原:そうですね。〈シナジーワークス〉もマスクみたいなフェルト製フェイスガードのオプションパーツがあったり、実用的かつユニークな製品が多いので、アウトドアアパレルマニアの間でも人気を集めているみたいです。

阿部:海外でも評価されてるの?

栗原:いや、この辺のある意味マニアックなものに関しては断然日本の中古市場の方が強いと思いますね。海外だと行って〈パタゴニア〉止まりというか。

今野:栗くんはこれ着てるの?

栗原:最近は自宅から事務所までの距離、徒歩数分を行き来するだけなので、そもそも冬物のインナーをあまり着てないですね(笑)。

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