「王道ではないものの、これもれっきとした“珍ピオン”」

‘90s IRREGULAR SWEAT & T-SHIRT
藤原:よく見ると袖や肩にうっすらと何か書いてあるけど…。何て書いてあるんですかね?


栗原:そもそもちゃんとした文章にはなってないし、おそらくその生地の管理ナンバーかなにか、生地反の隅に直接書いていたものを、間違えてその個所も含めて縫製してしまったんじゃないかと。
今野:ようは本来なら製品として市場に出回るはずのないB品ってこと?
栗原:おそらくは。最初に気がついた、というか初めて出会ったのは3年くらい前のことで。その時は誰かが製品に書いたんだと思っていたんですね。でも、その最初に出会った個体も、次に出会った個体も共に未使用品だったんですよ。で、それらの中にはこのTシャツと同じように文字が縫製に掛かっているものもあり、やはり縫製前に書かれていたことがわかって。それから意識的にチェックするようになったら、スウェットだけでなくTシャツなんかも出てきて。
今野:へえー。ということは、古着として市場に出回ったものではなく、工場から直接買い上げたものなのかもね。
栗原:そうですね。これらはラグ屋で出たデッドの塊に混ざっていたものなんですが、おそらくは閉鎖された工場、もしくはB品等を取り扱う業者からドネーションされたものなんじゃないかと思います。

阿部:年代はバラバラ?
栗原:体感的には’90年代のものが多いというか、それより旧い時代のものにはまだ出会ってないですね。

阿部:裕くんならいくらくらい付ける?
藤原:どうでしょう。スエットの方はいわゆる“珍ピオン”としてマニア的な価値もありますから、ざっと5万ってところでしょうか。
阿部:えっ! ホントに?
藤原:はい。デニムに置き換えて考えても、こういったB品的な仕様がやがては希少価値へと繋がりますからね。
阿部:確かに。