第三講
藤原裕

LEVI’S VINTAGE DENIM FOR KIDS
藤原:では、デニムつながりということで。〈リーバイス〉のいわゆるファーストモデルと呼ばれる「506XX」のボーイズ版にあたる「506XXB」のデッドストックを中心とした子供向けデニムたちです。
今野:特にキッズはここ数年で急騰しているよね。
阿部:なんで? キッズのコレクターなんて昔からそれなりにいたでしょ?
今野:ぼくが聞いた話だと、世界的にも知られるヴィンテージコレクターたちが、近年こぞってキッズカテゴリーへと移行しているみたいなんです。
藤原:そうみたいですね。一部のコレクターはこれまで集めたパーソナルコレクションを一気に手放して、それを元手にキッズデニムを買い集めていると、この間今野さんに教えていただいて。


阿部:着用を前提としないコレクターズアイテムってこと?
藤原:そのようです。
今野:額装して飾っているようなので、ボーイズではなく、額に収まるキッズサイズに需要が集中していると聞いていますね。
阿部:セールスマンサンプル(製造元のセールスマンが小売店に営業をかける際、なるべくコンパクトに運べるよう製品とまったく同じ仕様の小型サンプルを持ち周っていた)ではなく、キッズなんだね。
栗原:まあ、セールスマンサンプルの方が圧倒的に玉数が少ないですし、すでに激戦区なのはみんなわかっているでしょうから、それらと比べるとまだ手に入り易いキッズものが注目されているんですかね。

阿部:なるほどね。ボーイズとキッズの明確な棲み分けってあるの?
藤原:特にわかりやすいのはボタンですね。ボーイズが大人用と同じサイズのボタンを使っている一方、キッズはしっかり小型化されたボタンを使っていますから、見た目的にはボーイズの方が通常版に近い感じなんです。それにサイズ表記も異なります。特にパンツはW表記のところに「AGE 0」みたいにウエストインチではなく、対象年齢が記されています。
阿部:そうなんだね。とはいえ、通常版よりは当然安いんでしょ?


藤原:難しいところですね。ぼくが今回持ってきた「506XXB」の場合、まずは希少性、さらにデッドストックという状態も加味して、100万円は下らないと思いますね。
阿部:嘘でしょ(笑)。
藤原:いやいや、ここ数年の間に市場が激変していて。投資対象になっている部分もあるというか…。
阿部:もはや骨董の領域なんだね…。